多業種の集合知とideagramの活用で、未来の街を創る565のアイデア創出
大和ハウス工業株式会社 未来共創センター 杉本様、菅野様、山本様
- 実施内容
- 同社が過去に開発した郊外型住宅団地の再耕をテーマに、イノベーションテック・コンソーシアム(以下ITC)の会員14組織、約100名を募り、イノベーションテックツールideagramを利用し、アイデア出しを実施。オンライン完結のセッションを通じ、合計で565の事業の基となるアイデアを創出。その後、事業創造に向けて活動を続けている。
- 実施期間
- 2020年1月
- 課題・背景
- 同社の中期経営計画の重点領域の一つに揚げられる郊外型住宅団地の再耕をテーマに、大量・多様で良質なアイデアを生み出すことを狙いとし、ITCの会員と共にideagramを実施。
- 実施結果
- 同社内でのアイディエーションだけでは得られなかった多様性溢れるアイデアを565創出。
- 565アイデアを同社でブラッシュアップし、「思い出のデータ化」や「コミュニティ・リード・サービス」といった多様な視点からの新しい事業アイデアに到達。
- アイデア創出後のブラッシュアップ工程の労力を、プロトタイピング段階の新機能を用いて、約8割削減。
2020年1月、同社の中期経営計画の重点領域に対する多様なアイデアを募集するため、イノベーションテック・コンソーシアム会員企業との合同アイディエーションを企画。企画立ち上げから2ヶ月でアイディエーションを完了し、高速で事業の種を作り出すことに成功した新しい取組において、企画・推進を行った杉本様、菅野様、山本様に、実施の背景やプロセスについてお話を伺いました。
ideagramで、多様な価値観を持つ人による、幅広いアイデアの可能性を探れるのではないかと気づいた
今回、この取組の実施背景を教えて下さい。
山本様(以下敬称略):設立当初より新規事業の探索機会を求めて所属していた、イノベーションテック・コンソーシアム(以下、ITC)でイノベーション創発ツールである「ideagram」を試用したことがきっかけでした。我々未来共創センターでは、未来予測を含め多角的に物事を考える必要があるのですが、社内に留まることなく多様な価値観を持った人が参加することにより、幅広い事業アイデアの可能性を探れそうだ、ということに気づき、いつか自社が関連するテーマでもう一度じっくりと活用したいと思っていました。
杉本様(以下敬称略):私達が開発する街には、多様な方が住んでいらっしゃいます。そんな中で、全く異なる業種の多様な視点を持った方々、そして数的にも多くの方の意見を頂けるという点を期待していましたが、当初の期待を上回る結果が得られたと思います。
実施プロセスをお聞かせ下さい。
山本:まず、ITCの月例の会議の中で今回の企画を発表し参加頂ける会員企業様を募りました。その他、社内の関連部署にも声をかけ、結果14の団体、約100名でideagramを使い、オンラインでの創造セッション(アイデア出し)・評価セッションを行い、VISITSの独自アルゴリズムでスコアリングされた565個ものアイデアを生み出しました。その後、一覧をセンターの各メンバーが読み込み、ピックアップしたものに対して深く議論を行いました。
実際に出たアイデアはいかがでしたか?
山本:面白いと思えるものがたくさんありました。例えば、今回ご参加いただいたロジスティクス企業様のアセットを活用したコラボアイデアなどはITCやideagramならではかと思いました。他にも「思い出のデータ化等による不動産流通の活性化」等といった従来の発想では到ることができなかった興味深いアイデアにまで練り上げることができました。スコアリングについても、低スコアのアイデアを検討対象外とすることに違和感はなく、スクリーニングとして有効に機能していました。
杉本:今回創出された565個のアイデアはひとつ一つの質が高く多様性にも溢れ、期待した以上の収穫を得ることができました。
共創の取組を通じて相互に価値を高めることが今後のイノベーションの作り方
従来のアイディエーションと比べていかがでしたか?
山本:従来のプロセスと比べると、短期間で出来た点と多様性に富んでいるという点がよかったです。全体のプロセスを2ヶ月ほどで完了することが出来、かつ多様な方に参加していただけましたから。質にもよりますが、センター内で新しいテーマを作るところから始めると「半期で何件」という目標をたてるイメージですので、通常と全く違う動き方が出来ました。また、このセッションで出てきた565のアイデアをブラッシュアップする段階で、全数チェックすると1人あたり丸一日かかるのですが、ideagramに推奨されるアイデアだけを見ればよかったので、2時間くらいで終わらせることが出来た点も良かったです。
御社では、様々なイノベーションに関わる取組をされいますが「イノベーション」について思いをお聞かせください。
菅野:イノベーションの効果については、価値・取組という視点があると思っています。私達は、「人・街・暮らしの価値共創グループ」として、暮らしを幅広く捉え、お客様が気づいていない、新しい暮らしの価値を共創していきたい。そういったことが、イノベーションなのではないかと思っています。
杉本:取組自体を「大和ハウス工業がやるからそこに協力してください」ではなく、関わった全ての企業が主役になることができ、取組を通じて相互に価値を高めることが今後のイノベーションの作り方かと思っています。必ずしも革新的な技術が必要なのではなく、共創の視点を取組むことが大切だと思います。